ジュンシン |
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字は友若。潁川郡潁陰の人。荀[糸昆]の第四子、荀[コウ]の父、荀[イク]の兄《荀[イク]伝》。 初平元年(一九〇)、董卓討伐の兵を挙げた冀州牧韓馥は、故郷から荀[イク]らを呼び寄せた《荀[イク]伝》。翌二年、勃海太守の袁紹が公孫[王贊]と連絡を取って冀州を襲撃させると、韓馥は恐怖を抱いた。荀[言甚]は張導・郭図・高幹とともに韓馥を説得した《袁紹伝・臧洪伝》。「公孫[王贊]が勝利に乗じて南進し、諸郡が呼応しており、袁車騎も軍勢を率いて東進し、その意図は分かりません。将軍のために懸念いたしますが」。韓馥は言った。「どうすればよかろう?」《袁紹伝》。 荀[言甚]「寛容さと度量によって人々の帰服を受けているという点で、ご自身を袁氏と比べてどう思われますか?」、韓馥「(私の方が)及ばない」、「危険を前によく決断し、智勇が人一倍という点で、袁氏と比べてどう思われますか?」、「及ばない」、「世間に恩徳を施して天下の家々が恩恵を蒙っているという点で、袁氏と比べてどう思われますか?」、「及ばない」《後漢書袁紹伝》。 荀[言甚]「勃海は郡とはいっても実質は州同然です。いま将軍は三つの点で(袁紹に)及ばないのに、もう長いあいだ彼の上位に立っておられます。袁氏は一代の英傑であり、このまま将軍の下位ではいられますまい。また公孫氏は燕・代の兵卒を率いており、その鋭鋒は当たるべからざる勢いです。そもそも冀州は天下の重鎮、もし両軍が力を合わせて城下で矛を交えるようなことになれば、危機滅亡はたちどころにやって参りますぞ」《後漢書袁紹伝》。 荀[言甚]「そもそも袁氏は将軍の旧知であり同盟者ですから、現状における計略としては、冀州を挙げて袁氏に譲渡されるに越したことはありません。(袁紹は)将軍に対して深く恩義を感じることでしょうし、公孫[王贊]は彼と争うこともできますまい。さすれば将軍は賢者にへりくだったとの名声が得られ、御身は泰山のごとく安らかとなりましょう。将軍よ、お疑い召されるな!」。韓馥はもともと臆病な性質だったので、その計略に従った《後漢書袁紹伝》。 荀[イク]が到着したとき、すでに袁紹が韓馥に代わって州牧の地位にあり、荀[イク]は上賓の礼による待遇を受けたが、袁紹には大事業を成し遂げることができまいと考えて立ち去った。荀[言甚]は辛評・郭図らとともに袁紹の任用を受けた《荀[イク]伝》。 荀[言甚]が冀州入りしたのは荀[イク]以前ということになる。 建安五年(二〇〇)、袁紹は精鋭十万人、騎兵一万人をえりすぐって許を攻撃せんと企てたさい、審配・逢紀に事務を統べさせ、田豊・荀[言甚]・許攸を謀主、顔良・文醜を将帥としている《袁紹伝》。 のちに陳羣は、汝・潁地方の人物について孔融と論評し、「荀文若(荀[イク])・公達(荀攸)・休若(荀衍)・友若(荀[言甚])・仲予(荀悦)は現代において匹敵する者なし」と述べている《荀[イク]伝》。 【参照】袁紹 / 郭図 / 韓馥 / 許攸 / 公孫[王贊] / 孔融 / 高幹 / 荀[イク] / 荀悦 / 荀衍 / 荀[コウ] / 荀[糸昆] / 荀攸 / 辛評 / 審配 / 張導 / 陳羣 / 田豊 / 董卓 / 逢紀 / 潁陰県 / 潁川郡(潁) / 燕 / 冀州 / 汝南郡(汝) / 代 / 泰山 / 勃海郡 / 車騎将軍 / 太守 / 牧 / 上賓之礼 / 謀主 |
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