三国志モバイル人物伝

傅幹Fu Gan

フカン

(175〜?)
魏扶風太守

字は彦材《武帝紀》または彦林《後漢書傅燮伝》、小字を「別成」といった《後漢書傅燮伝》。北地郡霊州《後漢書傅燮伝》あるいは泥陽の人《晋書傅玄伝》。傅燮の子、傅玄の父《晋書傅玄伝》。

父の傅燮が漢陽太守に任命されたので傅幹も官舎で暮らしたが、中平四年(一八七)、王国・韓遂らが反乱を起こして漢陽城を包囲した。賊軍のうちに傅燮が目をかけていた胡族がいて、平伏しながら傅燮に降服するように訴えた。傅幹はこのとき十三歳であったが、「国家は混乱して大人(ちちうえ)を受け入れませんでした。いま天下が反乱して軍隊は自分の身を守ることさえできません。郷里の羌胡族どもは恩徳を忘れておらず、(大人が)郡を棄てて帰郷してくださるのを願っておるのです。どうかその通りにしてやってください。郷里で義士を集めてから天下を正せばよろしゅうございます」と傅燮を説得した《後漢書傅燮伝》。

傅幹の言葉も終わらぬうち傅燮はため息を吐き、「別成よ、吾が死を覚悟していることを知っていたのか?俸禄を賜った以上は逃げるわけにはいかんのだ。お前には才智がある。努力せよ、努力せよ。主簿の楊会が吾の程嬰だぞ」と言った。傅幹は喉を詰まらせて言葉にならず、左右の者たちもみな泣き崩れた。傅燮は両翼の軍勢を率いて進撃し、戦死した《後漢書傅燮伝》。

程嬰は春秋時代、趙の人。主君が政敵に殺されたとき、程嬰は同僚の公孫杵臼に「ご主君の奥方にはお腹に忘れ形見がおる。もし男児ならば盛り立てるつもりだが、女児ならばわしは死のう」と言った。政敵は、奥方が男児を産んだと聞いて、殺すつもりで探したが見付けられなかった。程嬰が「必ずまた探しにくるぞ」と言ったので、公孫杵臼は他人の子供を背負って山中に潜伏し、政敵配下の諸将に殺された。主君の忘れ形見は、実は、程嬰のもとにいて、のちに公に即位することができた。これが趙武である。程嬰は「ご主君と杵臼に会いにいく」と言い残して自殺した《史記趙世家》。

袁尚は高幹・郭援に軍勢数万人を授け、匈奴単于とともに河東へ進攻させ、使者を出して馬騰・韓遂と手を結ぼうとした。傅幹は馬騰を説得した。「道に従う者は栄え、徳に逆らう者は亡ぶ、と申します。曹公(曹操)は天子を奉じて逆賊を討っており、道に従う者と言えましょう。袁氏は王命に背き、胡人どもを駆り立てて中国を侵略しており、徳に逆らう者と言うべきです。ごたごたが片付いたとき、どっちつかずの態度を取っておられた将軍が真っ先に誅殺されはしないかと心配です。将軍が郭援を討ち果たすならば、曹公はきっと将軍に感謝することでしょう。」馬騰はそれを聞き入れ、子の馬超に軍勢一万人を授けて鍾[ヨウ]とともに郭援を打ち破らせた《鍾[ヨウ]伝》

建安十九年(二一四)、劉備が蜀を攻略しようとしたとき、丞相掾趙[晉戈]は「劉備は成功できないだろう。用兵が稚拙であるし、蜀は四方を要害に囲まれておるからな」と述べた。しかし徴士傅幹は「劉備は他人に死力を尽くさせる度量の持ち主だ。諸葛亮は政治の変化に通暁し、正直でありながら知謀を持ち、それが宰相となっている。張飛・関羽は勇敢かつ忠義であって、いずれも万人の敵であり、それが将帥となっている。劉備の戦略に加えて三人の傑物が補佐するのだから成功せぬはずがない」と言った《先主伝》。果たして劉備は蜀を下したのであった。

同年七月、曹操が遠征して孫権を攻めたとき、参軍傅幹は諫言した。「天下を治めるには文武の道があり、それを用いるには威徳を備えるものです。明公(との)は武力によって天下の十分の九を平定され、いまだ王命に従わぬ者といえば呉・蜀だけです。呉には長江、蜀には高山があり、威光によって屈服させるのは困難、恩徳によって懐柔する方が容易です。軍勢を休めて国内を固められませ。いま十万の軍勢を催しておられますが、賊軍が深く要害に楯籠るならば、兵馬も能力を発揮できず、威光に傷が付きまするぞ。」曹操は聞き入れず、そのため成果を挙げられなかった《武帝紀》

傅幹はのちに扶風太守まで昇った《後漢書傅燮伝・晋書傅玄伝》。

【参照】袁尚 / 王国 / 郭援 / 関羽 / 韓遂 / 呼廚泉(匈奴単于) / 高幹 / 諸葛亮 / 鍾[ヨウ] / 曹操 / 孫権 / 張飛 / 趙[晉戈] / 程嬰 / 馬超 / 馬騰 / 傅玄 / 傅燮 / 楊会 / 劉協(天子) / 劉備 / 河東郡 / 漢陽郡 / 呉 / 蜀 / 長江 / 泥陽県 / 扶風郡 / 北地郡 / 霊州県 / 参軍 / 主簿 / 丞相掾 / 単于 / 太守 / 徴士 / 羌族 / 匈奴 / 胡族

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