利用許諾契約書

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原著作者:【むじん書院】

92 荀彧伝・郭嘉伝のこじつけ

左伝』に掲載されている占い的中の記録には、たとえば敬仲に出奔したときの「五世代後に繁栄する」「の子孫(陳)が(斉)に育てられる」といった占いの言葉があるが、それ以外には一字たりとも成果を現すことはなかった。占いの言葉のうち(的中したのは)この一件だけなのに(数多くの逸話が)作られたのは、おそらく文人がもともと奇談好きであって、人の気を引くために作り話をしたからだろう。陳寿の『三国志』にもまたそれに似たような点がある。『荀彧伝』に言う。荀彧袁紹の臣下たちについて「田豊は剛直にして上位に干犯し、許攸は貪欲でけじめがなく、審配は専制的だが計略がなく、逢紀は決断力があるが自分のことしか考えない。その二人がとどまって後方の事務を仕切っているのだ。もし許攸の家族が法を犯せば、審配は放ってはおけまいし、放っておかねば必ずや変事を起こすであろう」と思料した。のちに審配は、案の定、許攸の家族に違法行為があったとして彼の妻子を逮捕したので、許攸は腹を立て、袁紹に背いて曹操に降った、と。また『郭嘉伝』にいう。曹操が官渡において袁紹と対峙しているとき、孫策の襲撃を企てていると報告する者があったが、郭嘉は「孫策は勇敢であっても警備を置いておらず、もし身を伏せていた刺客が立ち上がれば、一人を相手にすれば済むのだ」と言った。孫策は果たして許貢の食客に殺されたのであった、と。この二件における荀彧・郭嘉の予測は神業と言ってよかろう。しかしながら、どうして許攸が必ず法を犯し、審配が必ず変事を起こし、孫策が必ず匹夫の手にかかって死ぬことを察知し、半券のごとく(思いのまま)操れよう。これもまた『左伝』同様のこじつけではなかろうか。